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ねじとボルト

 英語のscrewは、らせん状の山または羽根を持つ棒状の部品を意味します。具体的には、締結部品(fastener)としての「ねじ」、船の推進器としての「スクリュー」(プロペラとも言う)、搬送部品としての「スクリュー」(スクリュー押出機やスクリューコンベヤのスクリューなどがこれに当たります。今回のテーマは、この締結部品としての「ねじ」と「ボルト(bolt)」です。なお日本語の「ねじ」ということばは、たとえば「ねじを切る」や「ねじが傷む」のように「ねじ山(thread)」の意味で使うこともありますので、混同しないようにしてください。
(1)締結部品としての「ねじ」
たとえば「カバーをねじ止めする」というときの「ねじ」がこれに当たります。また俗に「ビス止めする」や「皿ビス」ということばを使いますが、この「ビス」の語源はフランス語のvis(ねじ)です。「ビス」はJISの用語集には載っていないので、正式な技術文書では使わない方がよいでしょう。
ねじ部品には、「木(もく)ねじ(wood screw)」や「タッピンねじ(tapping screw)」のように相手部材にねじ(thread)穴を開けながら進入するものと、「十字穴付きなべ小ねじ(cross recessed round head screw)」や「六角穴付き止めねじ(hexagon socket set screw)」のようにあらかじめ加工したねじ穴にねじ込むものとがあります。
(2)「ボルト」
英語の締結部品としてのboltと日本語の「ボルト」には、少し意味のずれがあります。まず英語のboltは、ナット(nut)と併用するねじ部品を言います。boltは通常六角形の頭部を備えており、これをhexagon head bolt(六角ボルト)と呼んでいます。これとは別にhexagon socket head cap screw(Allen screwとも呼ばれる)というねじ部品があります。これは六角穴を設けた丸い頭部を備えており、通常ナットとは併用せず、相手部材にあらかじめ加工したねじ穴にねじ込まれます。ところが日本語ではこれを「六角穴付きボルト」と呼んでいます。つまり英語ではナットと併用しないねじ部品をscrewと呼び、ナットと併用するねじ部品をboltと呼んでいるのに対して、日本語ではナットと併用するかしないかにかかわらず「ボルト」と呼んでいることになります。
(3)ねじおよびボルトの種類
それでは日本語では「ねじ」と「ボルト」ということばがどのように区別されているのでしょうか?日本語で「ねじ」と呼ばれているねじ部品には、上で述べたような「木ねじ」、「小ねじ」、「止めねじ」などがありますが、全般的にねじの呼び径が小さく、たとえばJISによれば小ねじはもっとも大きいものでM8(ねじ部の直径が8 mm)です。一方、「ボルト」と呼ばれているねじ部品には「六角ボルト」、「六角穴付きボルト」、「植込みボルト(stud bolt)」などがあり、たとえばJISによればもっとも大きい六角ボルトはM64です(JISにはねじ山の形状としてはM300まで規定されています)。
(4)ねじ山としての「ねじ」
日本では現在、締結部品のねじとしてはすべてメートルねじが使われています。メートルねじには「並目ねじ(coarse thread)」と「細目ねじ(fine pitch thread)」とがあります。いわゆる「目の細かい」方を「細目ねじ」と言います。これ以外に「管用平行ねじ(parallel pipe thread)」、「管用テーパねじ(taper pipe thread)」、「台形ねじ(trapezoidal screw thread)」などがありますが、詳細については省略します。なお「おねじ(external thread)」および「めねじ(internal thread)」ということばもあります。
(5)翻訳上の注意
英日翻訳については、screwを単に「ねじ」と訳すのではなく、「ねじ」と「ボルト」とを使い分けする必要があります。原文に図や写真が添付されていない場合、どちらなのか判断できないことがあります。その場合、訳文にその旨注記しておくのがよいでしょう。boltは常に「ボルト」として問題ありません。hexagon head screwは、日本語では常に「六角ボルト」であって、「六角ねじ」とすると正式には間違いになります。
日英翻訳については、原文に「ボルト」とあっても、一律にboltとしてはなりません。すなわち、それがナットと併用されているのかどうかを見極めてboltまたはscrewとしなければなりません。どちらなのか判断できない場合、やはり訳文にその旨注記しておくのがよいでしょう。また「ねじ」とあった場合、screwとthreadとを使い分けるようにしてください。
(6)補足
ねじ穴を加工することを「ねじを立てる」や「タップを立てる」と言います。英語では動詞tapがこれに当たります。
「ねじ」という用語は「ネジ」とカタカナ表記することがあります。JIS用語集では「ねじ」になっていますので、顧客から特に指定がないかぎりこれに従った方が無難でしょう。
なお、原稿で「ねじ」または「ボルト」ということばを間違って使っていることがあります(例:「フランジのねじを交換する」は「フランジのボルトを交換する」の間違い。フランジではめねじ部品として必ずナットを使うので、英語ではscrewではなくboltとする)。このような疑問点があれば顧客にフィードバックするのがよいでしょう。
 

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