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新聞記事を嘆く(8) 比較級

 まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
このたび取り上げるのは、「波聞風問 トヨタ新工場 よりよい価値追求する場に」と題する記事で、その一節をそのまま引用すれば下記のようになります。問題があるのは下線部分です。
<トヨタは新工場の建設を3年ぶりに発表した。メキシコと中国の新工場に新技術を導入する。以前よりも部品を共通化する新しい設計思想「TNGA」で開発した車もつくる>
この「以前よりも」の「以前」は比較の対象であり、もう一方の比較の対象は明記されていませんが、「今回」であると推定されます。すなわち、「以前と今回とを比較すれば」という非明示的な前置きで文が始まっていると考えられます。何かを比較する文には、形容詞、形容動詞、連体修飾句または数量や程度の増減を示す動詞が含まれていなければなりません。これらの例を挙げると次のようになります。
形容詞:大きい、高い、多い、安い、むずかしい等
形容動詞:静かだ、元気だ、立派だ、安全だ等
連体修飾句:人気がある、将来性がある、見込みがある等
数量や程度の増減を示す動詞:増す、増える、増加する、減る、減少する、向上する、改善する、悪化する等
さて上に引用した記事を見直してみると、上の例のような比較の文に必要な語句が含まれていません。したがって、この記事には欠陥があると言えるでしょう。
それでは、記事をどのように改善すればよいでしょうか?筆者の考えた案は以下のとおりです。
案1:共通部品の点数を以前よりも多くした
案2:共通部品の点数を以前よりも増やした
案3:共通化の度合いを以前より増した
(注記)一般的に連用修飾語は、被修飾語の直前に置いた方が意味が明確になるとされているので、「以前よりも」の位置を変えました。
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