HOME » 日本語 » 新聞記事 » 新聞記事を嘆く(38) 目的語

新聞記事を嘆く(38) 目的語

 まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
 今回は「技術覇権へ人材争奪戦」と題する記事で、疑問のある個所をそのまま引用すれば下記のようになります。
 <高速通信規格「5G」で世界をリードする華為は、中国の技術覇権の象徴とみなすトランプ政権からスマートフォンの重要技術などの輸出規制を受けているが>
 この記事を読んだ読者に、意味がすぐ分かったでしょうか?分かりにくいのは、<華為は、中国の技術覇権の象徴とみなすトランプ政権>の部分であり、ここまで読み進めれば<華為は、中国・・・とみなす>となり、「みなす」の主語は「華為」となりますが、「華為」は何を象徴とみなすのでしょうか?さらに読み進めると「トランプ政権」ということばが表れますが、「華為」が「トランプ政権」を「象徴とみな」している訳ではありません。なおも読み進めると「輸出規制を受けている」という語句が表れるので、「華為」は「トランプ政権から・・・輸出規制を受けている」というのは間違いなさそうです。
 この文からいったん離れて記事全体を読み、記者が何を言いたいのか考えてみると「トランプ政権が華為を中国の技術覇権の象徴とみなしていて、華為はそのトランプ政権から・・・輸出規制を受けている」ということになります。記者はこの内容を簡潔に表現しようとして、このような訳の分からない文が出来上がってしまったのです。
 それではどうすれば意味の通る文になるのでしょうか?それは「中国の技術覇権」の前に目的語の「華為を」を挿入することです。このように「華為を」という3文字のことばを挿入するだけで、<高速通信規格「5G」で世界をリードする華為は、華為を中国の技術覇権の象徴とみなすトランプ政権からスマートフォンの重要技術などの輸出規制を受けているが>となって、スラスラと理解できる文になりました。
 この記事を書いた記者は、文章を読み直していなかったのでしょうか?また校閲部門は、この文では意味が通らないことに気が付かなかったのでしょうか?いずれにしても嘆かわしいかぎりです。
 
 この新聞記事のコピーを見たい方は、ここをクリックしてください。疑問のある個所は、赤い傍線で示されています。

MENU

Copyright(c) 2019 TECHXEL All Rights Reserved.