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新聞記事を嘆く(36) 「自国ブランド」

 まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
今回は「「ANTA」ナイキを追う 中国企業世界的価値求める」と題する記事で、第二段落の疑問のある個所をそのまま引用すれば下記のようになります。
 <江蘇省南通市からバスで駆けつけた会社員の蒋科□さん(25)は興奮を隠さない。トンプソンは所属するウォリアーズを3回、NBA王者に導いた中心選手。その彼が自国ブランドの靴を履いてプレーすることに自尊心がくすぐられるのだ> (注記:蒋科□の□の字は手元の漢和字典に出ていませんでした。焱の下に木という字です)
 この記事を読んだ読者は、「自国ブランド」というのは「米国ブランド」と考えて「あれ?」と疑問をもったに違いありません。というのはこの記事の第一段落に<クレイ・トンプソンが中国のスポーツブランドを身にまとって現れた>と書いてあるからです。しかし、<彼が自国ブランドの靴を履いて>という表現からすると、「自国」すなわち「自分の国」は「靴を履いている人の国」のはずです。したがって、<彼が自国ブランドの靴を履いて>は<彼が中国ブランドの靴を履いて>の間違いであることは明らかです。
 記者はなぜこのような間違いを犯したのでしょうか?それは、記者の頭の中には上記引用文の初めから終わりまで「蒋さん」が主体としてあり、だからこそ最後の<(蒋さんの)自尊心がくすぐられるのだ>で文が終わっているのです。
 どうしても「自国ブランド」ということばを使いたいのなら、たとえば「試合会場で自国ブランドの靴が彼の目に入った。トンプソンがその靴を履いてプレーすることに自尊心がくすぐられるのだ」としてはどうでしょうか?

 この新聞記事のコピーを見たい方は、ここをクリックしてください。疑問のある個所は、赤い傍線で示されています。

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