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新聞記事を嘆く(35) 「注目は」

  まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
  今回は「「縄文=ユートピア」はホント?」と題する記事で、疑問のある個所をそのまま引用すれば下記のようになります。
  <注目は、約300基の墓のうち約20基に出土が偏る点。>
  この文を読んだ読者は、意味は分かるものの、やや不自然さを感じるのではないでしょうか?その理由は、冒頭の「注目は、」にあります。この助詞「は」は提題の助詞と呼ばれており、「注目」がこの文の主題であることを示しています。この文の骨子は「注目は、偏る点(である)。」となります。手元の「新明解国語辞典」三省堂(1983)によれば、「注目」の意味は(1)「目をそちらへ向けて、よく見ること。」、(2)「注意して見ること。」となっています。骨子を書き換えれば、「よく見ることは、偏る点(である)。」となり、論理的に考えてこのような日本語は成り立ちません。
  「注目は、」を「注目しなければならないのは、」と書き換えれば意味がはっきりします。すなわち、「注目しなければならないの」がこの文の主題であり、記者は、「注目しなければならないのは、」と書くべきところを省略して「注目は、」と書いてしまったのです。上に「この文を読んだ読者は、意味は分かるものの」と書いたのは、読者が自ら「しなければならないの」ということばを補って読めば意味が分かるということです。
  この記事を書いた記者や校正者は、この文を読んで何も感じなかったのでしょうか?新聞記事は、意味が何とか分かればよいというものではありません。「教育に新聞を!」というキャンペーンを張っている以上、新聞記事は常に模範的な文章でなければなりません。
 
この新聞記事のコピーを見たい方は、ここをクリックしてください。疑問のある個所は、赤い傍線で示されています。記事の右端の青い傍線の「注目を集めている」は、「注目」という名詞の用例です。

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