HOME » 日本語 » 新聞記事 » 新聞記事を嘆く(28) 副助詞「は」

新聞記事を嘆く(28) 副助詞「は」

まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
 このたび取り上げるのは、「倉橋憲一の詩集を読む 劉暁波の夫人 孤独に耐える厳しさ」と題する記事で、その本文をそのまま引用すれば下記のようになる。
 <作者の劉霞は、中国で1989年の天安門事件以来民主化を訴え続け、「国家政権転覆扇動罪」という罪に問われ、獄中でノーベル平和賞を受賞、そのまま昨年7月入院先で亡くなった劉暁波の夫人>(筆者注:名詞止めになっている)
 「作者の劉霞は」の副助詞「は」は、提題の助詞とも呼ばれ、文の主題を表し、主語であることも示す
。したがって読者は、「劉霞は、・・・訴え続け、・・・罪に問われ、・・・受賞し、亡くなった」と解釈するが、「劉暁波の夫人」まで読み進んだ段階でその解釈が間違いであることに気付く。実際には、文の骨子は、「劉霞は、劉暁波の夫人」であって、「中国で1989年の天安門事件以来民主化を訴え続け、「国家政権転覆扇動罪」という罪に問われ、獄中でノーベル平和賞を受賞、そのまま昨年7月入院先で亡くなった」は「劉暁波」の連体修飾句なのである。このような最後まで読まないと理解できない文は書くべきではない。
 改善案は、<作者の劉霞は劉暁波の夫人で、彼は中国で1989年の天安門事件以来民主化を訴え続け、「国家政権転覆扇動罪」という罪に問われ、獄中でノーベル平和賞を受賞、そのまま昨年7月入院先で亡くなった>である。原文の文字数は、句読点及びかぎ括弧を含めて、90であるが、改善案では93である。増えた3文字の内訳は、「夫人で」の「で」1文字及び「彼は」の2文字である。
 これが英文であれば、A is B who ….という関係代名詞を使った明確な表現になる。英文は、文をどこで切っても意味が通じる、すなわちwhoの述語を「訴え続けた」だけにしても文が成り立つが、上記の記事を「作者の劉霞は、中国で1989年の天安門事件以来民主化を訴え続けた」としてしまうと、意味がまったく変わってしまう。新聞記事を嘆く(27)でも述べたが、関係代名詞をもたない言語では、長い前置修飾句を使うと文が分かりにくくなることが多い。このことを常に意識しながら、文を作成しなければならない。
 
 この記事の原文を見たい人は、ここをクリックしてください。

MENU

Copyright(c) 2018 TECHXEL All Rights Reserved.