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新聞記事を嘆く(24) 動詞句の並列

まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
 このたび取り上げるのは、「野党、国会協力に不安」と題する記事で、その本文をそのまま引用すれば下記のようになる。
 <結党メンバーの細野豪志氏は31日のパーティーで、「安保反対、憲法改正に非常に消極的な姿勢を示している政党が、野党第1党を占めている」と述べ、立憲を批判した>(下線は筆者による)
 この記事の読者は、下線部の「安保反対、憲法改正に」まで読んだ段階では、読点(、)を「安保反対」と「憲法改正」という二つの名詞句を並列する意味に解釈したはずであるが、さらに読み進めた段階でそうでないことに気付き、頭が混乱したはずである。というのは「安保反対に非常に消極的な姿勢を示していて、かつ憲法改正に非常に消極的な姿勢を示している」政党は存在しないからである。問題点は「安保反対」という名詞句を使ったところにある。この記事の記者の言いたいのは、「安保に反対している政党」であるから、「反対している」と「示している」という二つの動詞を並列させてそれらが「政党」を修飾する構文にしなければならない。
 したがって、原文は「安保に反対し、憲法改正に非常に消極的な姿勢を示している政党が、野党第1党を占めている」としなければならない。
 
[参考]英語では名詞、名詞句、動詞句及び節それぞれを並列するときに必ずandを使う。日本語では、andの代わりに読点、「と」、「及び」及び「そして」を使うが、読点を使うことが多い。読点は、名詞、名詞句、動詞句及び節それぞれの切れ目に使うこともできるので、意味があいまいになりがちである。したがって並列の場合、andの意味で読点を使うことをやめ、andに相当する日本語を使うことが望ましい。たとえば「A及びBに非常に消極的な姿勢を示している政党」、「AとBとに非常に消極的な姿勢を示している政党」、「Cを行い、そしてDを行っている政党」などである(「そして」は動詞句に使う。動詞句を二つ並列する場合、必ずしも使う必要はないが、動詞句が三つ以上ある場合、特に一つの動詞句が長い場合、最後の動詞句の直前に「そして」を置くと修飾関係がはっきりする)。簡潔な文を書くことはもちろん大切であるが、簡潔さを追究するあまり、文意が不明確になっては本末転倒である。andに相当する日本語を適切に交えて簡潔かつ意味が明瞭な文を書くようこころがけるべきである。
 
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