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新聞記事を嘆く(18) 修飾関係

まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
 このたび取り上げるのは、「指導者と若者結び共に未来へ」と題する記事で、その本文をそのまま引用すれば下記のようになる。
 <ほかの国にとっては主導権を握り、米国に追随するよう促す機会なのです>
 この記事を一読すると、「促す」の内容は「主導権を握ること」と「米国に追随すること」、すなわち「主導権を握るよう、そして米国に追随するよう促す」と解釈してしまうおそれがある。しかし、記者は二つの「機会」について述べているのであって、その「機会」の内容は、「主導権を握ること」と「米国に追随するよう促すこと」、すなわち「主導権を握る機会であり、また米国に追随するよう促す機会」なのである。これは動詞句の並列と動詞句の修飾関係の問題である。このように二つの意味に解釈される文は絶対に書いてはならない。
 ここで修正案を考えてみよう。まずこの文には主題がないので、「これは」を冒頭に置く。次に3つの動詞「握る」「追随する」及び「促す」の行為の対象について検討する。「握る」の行為の対象は「主導権」であって、これが目的語となっている。「追随する」の行為の対象は、「米国」ではなくて「ほかの国」である。「促す」については、「よう」を「ことを」に言い換えることができるので、「追随すること」という目的語が存在し、行為の対象は「米国」である。つまり、この文の欠点は「追随する」及び「促す」という行為の対象が明確でないことにある。また「主導権を握る」の主語も明確にした方がよい。したがって、修正案は、「これはほかの国が主導権を握り、それらの国に追随するよう米国に促す機会なのです」ということになる。
 一般的に文を書くとき、修飾句はできるかぎり被修飾句の直前に置くという原則がある。この原則を守れば、意味のあいまいな文の作成を避けることができる。
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