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新聞記事を嘆く(17) 形容動詞

まえがきについては、「新聞記事を嘆く(1)」をお読みください。
 このたび取り上げるのは、「習氏、保護主義を牽制」と題する記事で、その本文をそのまま引用すれば下記のようになる。問題がある部分に下線を施した。
 <今後の自由貿易について「中国は、アジア太平洋自由貿易圏などの交渉を進めて、世界に開かれた自由貿易圏のネットワークをつくる。開放的で透明さを訴え、排他的で細分化された仕組みを目指したりはしない」とした>
 「開放的で」は、形容動詞「開放的だ」の連用形である。形容動詞の連用形の活用語尾は、「だっ」「で」「に」の3種類ある。活用語尾「だ」は、「ある」「は」「も」などに連なり、また文を中止したり(例:海は穏やかで、波一つ立っていない)、形容動詞を並列したり(例:彼は温厚で、誠実だ)する場合に用いる。ところが、この記事の「開放的で」は、上述のどの用法にも該当していない。したがってこの下線部は意味不明である。記事の入力時にことばの洩れがあったのかも知れない。
 文の前後関係からこの記者が何を言おうとしていたのかを推測してみよう。「開放的で」及び「透明さ」は、前の文の「ネットワーク」を修飾することばではなかろうか?そうすると「開放的なネットワーク」及び「透明さをもったネットワーク」という語句が浮かんでくる。下線部の最後に「を訴え」ということばがあるので、動詞「訴える」の目的語として名詞又は名詞句が二つ必要である。したがって下線部を「ネットワークが開放的で透明さをもつことを訴え」、あるいはもっと簡潔に「開放的で透明さをもつことを訴え」とすればどうであろうか。
 ただ、このような意味不明の語句を含む記事になった原因は何なのか?入力ミスがあることを校閲部門が見逃したのか?何か釈然としないものがある。これまで「新聞記事を嘆く」で取り上げてきた内容とは、間違いや不適切さの原因が異なるようである。
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